糖質制限
実は人間には、食事からの糖質はほとんど必要ありません。もちろん糖質はエネルギーにはなりますが、他の栄養素で十分エネルギーは賄えますので、必要ないのです。人体に必要な分の糖質は自分の体の中で作ることができます。
糖質は必要ないどころか、現在の食事のように過剰に糖質を摂っていると様々な病気になるリスクが高くなります。
糖尿病は様々な病気を引き起こします。しかも命に係わる、がんや心臓病、脳卒中など多くの病気の原因にもなっています。境界型の糖尿病(つまり糖尿病のちょっと手前)であってもがんのリスクが上昇するという報告もあります。
また、アルツハイマー型の認知症も九州大学の研究によれば、糖尿病およびその予備軍はアルツハイマー病を発症する確率が4.6倍です。アルツハイマー病の約80%に2型糖尿病あるいは耐糖能低下がみられるという報告もあります。さらにインスリン注射を使用するとアルツハイマー病になる危険性が4.3倍なるとも言われています。
しかし、現在の糖尿病治療はあまり効果的ではありません。従来の糖尿病食を食べて糖尿病薬を使用しても食後には血糖値が急上昇しています。空腹時血糖とヘモグロビンA1cの検査だけでは食後の血糖値の上昇はわかりません。この食後の血糖値の急上昇により日々あなたの血管は動脈硬化への道を着実に歩んでいます。一度悪くなった血管は元に戻りません。ですから、早いうちに従来の糖尿病治療から抜け出さなくてはなりません。
糖質、脂質、タンパク質のうち、糖質だけが血糖値を上昇させます。この事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後の高血糖を防ぐというものが糖質制限食です。
糖質制限をすると糖尿病以外でも、高血圧や中性脂肪値の改善、肥満の解消、脂肪肝の改善、アレルギーの改善など様々な効果を実感できます。
糖尿病を発症していない方はご自身で始められても構いません。すでに糖尿病の治療を行っている場合は必ずご相談ください。
機能性低血糖について
糖質を過剰に摂取すると、急激に血糖値が急上昇する血糖値スパイクというものが起こります。それに伴ってインスリン過剰分泌・分泌遷延が起こり、低血糖が起きることがあります。そのとき、様々な症状が出ます。食後3~5時間に症状が出ることが多いです。
症状
異常な疲労感、無力感、気力低下、眠気、集中力低下、不安、イライラ、神経過敏、攻撃的になる、うつ、自律神経の乱れ、不眠、悪夢、ひどい寝汗、恐怖感、焦燥感、めまい、ふらつき、物忘れ、眼のかすみ、目前暗黒感、日光がまぶしい、失神発作、頭痛、発汗、手足の冷え、震え、筋肉痛、動悸、頻脈、緊張、興奮、呼吸が浅い、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感 など
糖尿病がない人でも、また若い人でも起こります。通常の血液検査や健康診断ではなかなか発見できず、見過ぎされてしまいます。ときには精神的な疾患と間違われてしまうこともあります。これらの症状に心当たりがある方は是非ご相談ください。
著書:新刊 肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか 「糖質過剰」症候群II (光文社新書)
「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因 (光文社新書)
運動するときスポーツドリンクを飲んではいけない (廣済堂健康人新書)
監修:糖質オフ×プチ断食のW効果でやせる! 不調が消える!(主婦の友社)